キマダラセセリ

写真�@ キマダラセセリ　　八幡市　男山　山上駅裏 Photo by Kohyuh　2005/09/27

写真�A キマダラセセリ　　交野市　白旗池 Photo by Kohyuh　2006/09/24

写真�B キマダラセセリ　　八幡市　男山　山上駅裏 Photo by Kohyuh　2005/09/27

チョウらしくない
　セセリチョウは、およそ、チョウらしくない蝶である。　ところが、触角の形から見ると、少なくとも蛾ではなさそうである。　また、鱗粉があるから、アブやハチの仲間でもなさそうである。　とすれば、やはり、蝶が適当かも知れないのだが ・・・

　cf　蝶と蛾の区別

ある分類の仕方
skippers		セセリチョウ　（飛び跳ねるものの意）
butterflies		チョウ
moth		ガ

素人ではない
　大きな虫取り網を持ったおじさんが駐車場付近で、蝶を追っていた。　男山で蝶を採取している人を見たのは、このときが初めてであった。　ヤマトシジミなど、どこにでもいる蝶を捕まえていたから、特別、珍しいものを追っている様子ではない。　かといって、素人でもない。　ちゃんと、ヤマトシジミと分かって採っていたから。

　その人と別れて、山上駅に向かうと、展望台下の参道に、何故か、このキマダラセセリが沢山いた。　良くこの道も通るが、ただ、気がつかなっかだけなのかも知れない。

　この参道には、クズが生い茂っているし、男山の他の地域にはあまり見られないものである。　勝手にがってんした訳であるが、セセリチョウは、このクズがお似合いのような気がする。

ジェット機に似ている
　もちろん、自慢ではないが、このとき、キマダラセセリの名前は、未だ知らない。　セセリチョウと言えば、イチモンジセセリぐらいしか知らなかったからだ。　そのイチモンジセセリとも、違うようだった。

　八幡さんの本殿前で、また、おじさんと出会ったので、この写真を見せると、一発回答 『キマダラセセリだ』 と教えてくれた。　やはり、素人ではなかった。

　それにしても、キマダラセセリの姿はチョウらしくない。　三角翼ジェット戦闘機のような姿である。　後翅を三角形の主翼とすれば、前翅を二枚の垂直尾翼のように立てている。

　このような特徴のある ・・・ 止まり方というか、翅の開き方というか ・・・ するのは、セセリチョウ科に共通するもので、何も、キマダラセセリに限らない。


　そして、チョウ関連のホームページを見てみると、やはり私と同じように、ジェット機に例える人が多いようである。　また、実際に、見かけどおり、飛ぶのも早いのだ。

チョウの飛行術
　チョウを見ると不思議に思うことがある。　このセセリチョウのように、早く飛ぶとか、ミスジチョウのように滑空するとか、飛び方も色々あるが、それなりに理解できる。

　早く飛ぶのは、早く目的地に到達したいからであろう。　滑空するのは、エネルギー消費を少なく、効率よく、目的地に到達するためであろう。　それなら、モンシロチョウ や殆どのチョウが、そうであるように、ひらひら飛ぶのは、どういう意味があるのだろうか。

　私は、風まかせに飛ぶことで、エネルギー消費を抑えるものと考えていたが、最近、分からなくなった。　風まかせではないような気がしだしたからである。

　もちろん、風の影響は受けやすいが、風に逆らって飛んでいるのも見たことがある。　身体の割りに翅が大きいのも、返ってエネルギーを消耗するように思う。

　人間は、これまで、鳥とか、トンボから、空の飛び方を学んできたことであろうと思う。　ところが、蝶の飛び方からは、まだ、何も学んでいないような気がする。　早く飛ぶためでもなく、エネルギー消費を少なくするためでもない、他の理由がある筈だ。　きっと、鳥とかの外敵から身を守る飛び方に違いない。

　実際のところ、蝶を追ってみると、そのことがよく分かる。　こちらと思えばあちら、あちらと思えば上に、と予測が付かない飛び方をする。　それでも、予測が付かないようでいて、全体的に見れば、目的地に向かっていることが分かる。　鳥からすれば、想像すら出来ない、訳の分からない飛び方であろう。

　cf. 独身の人へ

チョウの天敵は鳥か？
　蝶の天敵は沢山いるであろうが、殆どは、卵や幼虫や蛹 さなぎ の段階で天敵に出会う。　成虫になってからの天敵は、そう多くはない。　蜘蛛や小鳥ぐらいではないか。　そして、蝶にとって、蜘蛛の巣が最も脅威ではなかろうか。　実際、何度も、蜘蛛の巣に掛かった蝶を見たことがある。

　これは、車のスピード違反を取り締まるネズミ捕りに引っ掛かるようなもので、運が悪かったとしか言いようがない。　車なら未だしも、蝶にとっては、安全運転をしようにも、しようがない。


　それでもチョウは、その対策として鱗粉を持った。　蜘蛛の巣にかかっても、鱗粉が外れて、それこそ油を塗ったように、するりと抜け出せる可能性がある。

　さらに、小鳥に対しても、色々と工夫を凝らしており、それが、また、かなり効果を上げているように思う。　蛇の目模様もそうだし、この、ひらひら飛ぶ、飛び方もそうだろう。

　私は、ツバメやノビタキやハチクイが、虫を捕らえるところは見たことがあるが、蝶を捕らえるところは、未だ、見たことがない。　小鳥が蝶の天敵の一つとして数えられているのは、イモムシやケムシを捕食するからではないか。

　もちろん、成虫の蝶を捕食することも、あるだろうとは想像できるが、鳥からすれば、『天敵と言われる程のことはしていない』 と言うに違いない。

《余談》 ・・・ "dart" と　"dirt"
　キマダラセセリの英名を見たとき 「黄色い斑点のある小汚い蝶」 という意味かと思った。　セセリチョウは、蝶に分類して欲しくないと思っていたが、そこまで酷評するべきではない。　何という、非常識な命名をするのかと、義憤を感じていた。

　ところが、改めて見直すと、"dart" を　"dirt" と見間違えをしていた。　なるほど、見事な命名であることが分かった。　翅の様子など、ダーツの羽根に良く似ている。　なるほど、いい命名である。

ダーツ dart
　（投げ矢遊びの） 投げ矢

by 小学館　プログレッシブ英和・和英中辞典より引用

ダート dirt
　汚れ、泥

by 小学館　プログレッシブ英和・和英中辞典より引用

食草・食樹 　引用 *205
幼虫	ススキなどのイネ科植物
成虫	木立をまじえた草地に多く、花上に蜜を求めるものが多い

学名の意味 　引用 *203
Potanthus　ポタントス	キマダラセセリ属　セセリチョウ科 【ギ】 potos 飲んだ、酔った 　（pino 飲む + 【ギ】 anthos 花）
flavus　フラウス	【ラ】 flavus 黄色の

英名の意味
yellow-spotted dart butterfly	黄色い斑点のあるダーツ dart のような蝶
yellow :	黄色い, 黄色の
spotted :	斑点のある、まだらの
dart :	1 （投げ矢遊びの）投げ矢 　　throw a dart 投げ矢を投げる 2 ［複数形で； 単数扱い］ 投げ矢遊び、ダーツ 【解説】 　ダート盤 （dartboard） に 8フィート以上離れた所から矢を投げる室内遊戯； 英国のパブなどによくおいてある； 自分の持ち点 301 点から引いてゆく減点法で、早く 0 点になった者が勝ち
butterfly :	チョウ 【語源】 　「魔女が蝶の姿をしてバターやミルクを盗むとういう迷信からか、 または(排泄物の)色の類似から」などの説があるようだが、決定的なものではないらしい。
by New College English-Japanese Dictionary, 6th edition (C) Kenkyusha Ltd. 1967,1994,1998